鎌倉手帳(寺社散策)

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四万六千日
(しまんろくせんにち)
杉本寺・安養院・長谷寺


編集:yoritomo-japan.com








杉本寺


 「四万六千日」とは、観音さまの縁日。

 この日に観音さまにお詣りすると、四万六千日間お詣りしたのと同じご利益があるとされています。

 もとは京都の愛宕神社・清水寺、大坂の四天王寺などで行われている「千日詣」ともいわれています。

 鎌倉では、8月10日が「四万六千日大功徳日」(浅草の浅草寺などでは7月10日に行われています。)。

 坂東観音巡礼の札所となっている杉本寺安養院長谷寺には朝早くから多くの参拝者が訪れます。

 (上の写真は杉本寺の散華撒き)



〜四万六千という数〜

 コメ一升が約46000粒であることから、「一升」と「一生」をかけたのだとか・・・









杉本寺
リンクボタン杉本寺


 坂東三十三箇所第一番札所

 杉本寺は、行基・慈覚・恵心の三体の十一面観音が安置されている鎌倉最古の寺。

 火事の時に自力で避難した伝説や、下馬観音・覆面観音の伝説が残されている。

 恵心の十一面観音は花山天皇の発願なのだとか。

 開門午前0時。
 午前6時より大護摩
 午前10時より本尊大法要
 (大法要の前には散華が撒かれます。)


 リンクボタン杉本寺観音堂
 (杉本観音の伝説)





安養院
リンクボタン安養院


 坂東三十三箇所第三番札所
 
 安養院の千手観音は、源頼朝の家臣田代信綱が信仰していた観音像を胎内に納めていることから、田代観音と呼ばれている。

 信綱の観音像は、986年(寛和2年)、宋に渡った奈良東大寺の「然(ちょうねん)が持ち帰ったと伝えられるもの。

 「然は、京都の清涼寺「三国伝来の釈迦如来」を伝えた僧として知られている。

 開門午前5時。
 (午前9時まで自由拝観)。


 リンクボタン安養院観音堂
 (田代観音の伝説)





長谷寺
リンクボタン長谷寺

 坂東三十三箇所第四番札所

 長谷寺の本尊は、開山の徳道の願いで、稽文会(けいもんえ)と稽主勲(けいしゅくん)という二人の仏師が彫ったいう日本最大級の十一面観音像。

 本尊御姿の御札が配られます。

 開門午前4時
 (午前8時まで自由拝観)。


 リンクボタン長谷寺観音堂
 (長谷観音の伝説)



長谷寺
本尊御姿の御札

 「特別お身影」を授けて頂けます(数量限定)

 また、午前4時から8時までは、「御足参り」ができるようです。

 四萬六千日大功徳日の特別朱印も。



長谷観音の伝説



長谷寺
リンクボタン大和国長谷寺
(奈良県桜井市)

 大和国長谷寺(奈良の長谷寺)は、鎌倉の長谷寺と同じく徳道が開いたと伝えられる寺。

 西国三十三箇所の開祖は徳道といわれています。

 平安時代になると藤原道長をはじめとする貴族が参詣し、長谷寺を参詣する初瀬詣が盛んに行われました。

 清少納言紫式部赤染衛門菅原孝標女などの女流作家も訪れています。

 鎌倉の長谷寺には、奈良の長谷寺の草創と十一面観音造立の由来を描いた『長谷寺縁起絵巻』が伝えられています。










四万六千日


 四万六千日の日は、朝早くからお詣りをすることから、「朝詣り」ともいわれてきました。

 三浦半島の人たちは、杉本観音(杉本寺)、長谷観音(長谷寺)、田代観音(安養院)を巡った後、逗子の岩殿観音(岩殿寺)を巡って帰るのが順路となっていたようです。



リンクボタン鎌倉観音巡礼

リンクボタン坂東三十三観音〜神奈川県の札所〜

リンクボタン観音浄土へ船出した下河辺行秀〜補陀洛渡海〜





〜岩殿寺と巡礼古道〜

岩殿寺
リンクボタン岩殿寺
巡礼古道
リンクボタン巡礼古道


 岩殿寺(逗子市)は、坂東観音巡礼第二番札所。

 行基の十一面観音が安置されている古寺です。

 かつて巡礼者が、一番札所の杉本寺から2番札所の岩殿寺に向かうために通った道が巡礼古道

 特に四万六千日の日は巡礼者で賑わった道でしたが、宅地開発によって山が削られたことで道もなくなり、今日では一部が残されているのみとなっています。

 岩殿寺には花山法皇が来山しているのだとか。





〜源頼朝と坂東三十三観音〜

 坂東三十三箇所は、源頼朝の観音信仰と、源平の戦いで西国に赴いた武者たちが西国三十三箇所の霊場を観たことで、鎌倉時代初期の開設につながったのだといわれています。

 その後、観音巡礼は、西国三十三箇所、坂東三十三箇所に、秩父三十四箇所が加わり、百観音巡礼として発展しました。



しとどの窟
リンクボタンしとどの窟
(湯河原町)

 観音信者だったことで知られる源頼朝

 1180年(治承4年)の挙兵のときには、髷に京都の清水寺から下された「正(聖)観音像」を納めていました。

 のちにその観音像は、持仏堂(法華堂)の本尊とされています(参考:持仏堂の建立)。

 湯河原町のしとどの窟には、頼朝の観音伝説が残されています。



浅草寺本堂
リンクボタン浅草寺
(東京)

 浅草寺は、東京都で唯一の坂東札所(第十三番)。

 挙兵後、安房に渡って鎌倉を目指した頼朝は、1180年(治承4年)10月2日に武蔵国に入ると浅草寺で『平氏討滅祈願』を行ったとのだと伝えられています。



正法寺(岩殿観音)
リンクボタン正法寺
(東松山市)

 正法寺(岩殿観音)は、坂東札所第十番。

 頼朝が武蔵国比企郡の豪族・比企能員に命じて正法寺を復興させたことで坂東札所の一つに選ばれたのだとも・・・



安楽寺吉見観音
リンクボタン安楽寺
(吉見町)

 安楽寺(吉見観音)は、坂東札所第十一番。

 平治の乱後、頼朝の異母弟範頼が隠れ住んでいた寺と伝えられています。



大谷寺
リンクボタン大谷寺
(宇都宮市)

 大谷寺の本尊は弘法大師作と伝えられ、日本最古の石仏といわれる千手観音。

 坂東札所第十九番。





〜源頼朝と関係が深い西国札所〜

清水寺
リンクボタン清水寺
(京都)

 清水寺は、奈良時代後期に創建された観音霊場(西国三十三箇所十六番)。


リンクボタン観音信者だった源頼朝〜守り本尊は清水寺から授かった正(聖)観音像〜



石山寺
リンクボタン石山寺
(大津市)

 石山寺は、西国三十三箇所の十三番。

 東大門鐘楼多宝塔は頼朝の寄進と伝えられ、頼朝の供養塔も建てられています。






0810大功徳日



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