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夕霧は、紫式部の『源氏物語』の登場人物。 主人公・光源氏の長男。 母は葵の上。 |
※ | 長男ということだが、実際は藤壺が産んだ異母兄(冷泉帝)がいる。 |
夕霧の母・葵の上は、賀茂祭(葵祭)で斎王の禊の儀式に同行する光源氏を見るため出かけるが、愛人の六条御息所と牛車を停める場所めぐっていさかいを起こしてしまう。 侮辱を受けた六条御息所は葵の上を呪い、葵の上は8月に夕霧を出産した後に死去。 |
母の葵の上が夕霧を産んで数日後に亡くなったことから、祖母の大宮の邸に引き取られる。 葵の上の兄・頭中将の次女・雲居の雁も大宮邸に引き取られていたため、二人はやがて愛し合うようになる・・・ 12歳で元服すると、父の光源氏の方針により、大宮邸から二条東院に移され、大学寮に入った。 この頃、斎宮女御が冷泉帝の皇后となり、光源氏は太政大臣、頭中将は内大臣となっている。 次女の弘徽殿女御を皇后とすることができなかった内大臣(頭中将)は、三女の雲居の雁を東宮妃にしようと目論むようになるが・・・ 雲居の雁が夕霧に思いを寄せていることを知ると、雲居の雁を自邸へ引き取って二人を引き離した。 傷心の夕霧は、花散里に託されることに。 |
※ | 弘徽殿女御と皇后の座を争ったのは、六条御息所の娘・斎宮女御(秋好中宮)。 |
大学寮は、式部省の管轄下にあった最高教育機関。 |
この頃、光源氏は四季の町からなる六条院を造営。 春の町には紫の上、夏の町には花散里、秋の町には秋好中宮、冬の町には明石の君を住まわせている。 |
その後も密かに付き合いを続けていた夕霧と雲居の雁。 二人の仲を反対していた内大臣に藤の花を愛でる宴に招かれ、雲居の雁との結婚が許された。 仲良く暮らしていた二人だが、親友だった柏木が亡くなると、その妻の落葉の宮に思いを寄せるようになり、雲居の雁に別居されてしまう。 その後は・・・ 落葉の宮を妻に迎え、三条殿の雲居の雁と、六条院の夏の町に移した落葉の宮を一日おきに交互に通うようになった。 夕霧は藤典侍という側室もいたが、三の君と次郎君は花散里が引き取って養育し、六の君は落葉の宮のもとで育てられている。 |
柏木(二)病に伏す柏木を見舞う夕霧(越前市・紫きぶ七橋) |
「紫きぶ七橋」は、越前武生を流れる河濯川に架かる七つの橋の高欄にはめ込まれた『源氏物語絵巻』のレリーフ。 柏木二は、思い悩んで病に倒れた柏木を見舞う夕霧。 この時、柏木は落葉の宮のことを夕霧に頼んでいる。 |
三千院 |
往生極楽院 |
『源氏物語』~夕霧の巻~で一条御息所と落葉宮が移り住んだ「小野の山荘」は、三千院付近だったともいわれる。 三千院の往生極楽院は、元は三千院とは別の寺院で、恵心僧都源信の創建と伝えられる。 源信は、『源氏物語』の「宇治十帖」に登場する横川の僧都のモデルといわれる。 |
六条院の庭の草花も倒れる激しい野分(台風)が都を吹き荒れた日・・・ 見舞いに訪れた夕霧は、偶然にも紫の上の姿を垣間見て、その美しさに衝撃を受ける。 その翌日には、こっそりと覗き見た玉鬘の美しさにも見とれている。 |
薫は光源氏の次男。 母は、朱雀帝の第三皇女・女三宮。 女三宮は、藤壺中宮の異母姉で、落葉の宮の異母妹。 実は、薫は光源氏の子ではなく柏木の長男であるらしい・・・ 薫は匂宮とともに「宇治十帖」の中心人物として登場する。 匂宮は、冷泉帝と光源氏の愛娘・明石の中宮の子。 「宇治十帖」では夕霧の六の宮と結婚する。 |
柏木の遺品・横笛~夕霧と光源氏と薫~源氏物語 |
光源氏の死後、『源氏物語』は宇治が舞台となる。 「宇治十帖」は、薫と匂宮、そして、光源氏の異母弟・八の宮の美しい娘たち大君、中の君、浮舟の悲しい恋の物語。 |
「宇治十帖」~椎本~に登場する夕霧の別荘は、平等院(宇治殿)がモデルなのだとか。 |
『源氏物語』は、薫と匂宮の間で進退きわまった浮舟が出家したことで幕切れとなる。 「匂宮と浮舟の像」は、匂宮が雪をおかして宇治へ向かい、小舟で宇治川を漕ぎ出し、浮舟に永遠の愛を誓う場面をモチーフにしたもの。 |
鴻臚館は、能登国の能登客院や越前国の松原客館に滞在していた渤海使を招いていた施設。 『源氏物語』~澪標の巻には、桐壺帝が光源氏の人相を鴻臚館に滞在していた高麗人に占いさせ・・・ その結果、「将来三人の子が生まれ、それぞれ帝・后・太政大臣になる」と出たことが描かれている。 三人とは・・・ 藤壺との間に生まれた冷泉帝、明石の君との間に生まれた明石の姫君(今上帝の中宮)、そして、葵の上との間に生まれた夕霧。 ただ、夕霧は左大臣になったところまでしか描かれていない。 |
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