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「仏涅槃図」は、仏教の開祖・釈迦が沙羅双樹の下で、頭を北にして、西を向き、右脇を下にした姿と、十大弟子をはじめとするさまざまな生き物が嘆き悲しむ様が描かれた図です。 沙羅双樹は、その下に釈迦が身を横たえると満開の花を咲かせ、入滅すると枯れ果てたのだといいます。 釈迦が入滅したのは2月15日、満月の日でした。 生母摩耶夫人が上空から「生き返ることのできる霊薬の入った巾着袋」を投下しますが、残念ながら巾着袋は、沙羅双樹の木に引っかかってしまい、釈迦には届きませんでした。 そんな数々の物語が描かれているのが仏涅槃図です。 釈迦の生母摩耶夫人と白い象 |
※ | 患者に薬を与えることを「投薬」と言いますが、摩耶夫人が薬を投下したことから生まれたとも・・・。 |
「仏涅槃図」には多くの動物が描かれていますが、一般的に猫は描かれません。 お釈迦さまの臨終には多くの動物が駆けつけるのですが、一番早く駆けつけようと走り出したのが牛でした。 その次が鼠。 鼠は牛に追いつくと牛の背中に飛び乗ります。 途中で昼寝をしている猫に出会いますが、起こさずそのままにしておいたのだそうです。 そして、お釈迦さまのもとに到着する寸前、鼠は牛から飛び降り、一番にお釈迦さまのもとに駆けつけることができたのだとか・・・ 2番目に駆けつけたのが牛。 以下・・・虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪の順だったのだそうです。 以上の12の動物が干支となり、お釈迦さまのもとへ駆けつけた順番が干支の順番になったのだそうです。 ということで・・・ 昼寝していた猫は、涅槃図には描かれないことが多いとのこと。 こんな話もあるようです。 沙羅双樹の木に引っかかってしまった霊薬入りの巾着袋を、お釈迦さまのために鼠が取りに行ったところ、猫がそれを邪魔したため、お釈迦さまは生き返ることができなかったのだとか・・・ |
京都の東福寺の「仏涅槃図」には猫が描かれ、「魔除けの猫」と呼ばれています。 兆殿司(明兆)が涅槃図を描こうとしたとき、一匹の猫が度々、絵具を咥えてきたのだといいます。 猫の罪は重いので、本来、仏の慈悲に浴せないものではあるけれども、涅槃の絵具を持ってきた功徳によって加えられたのだとか。 |
鎌倉の東慶寺の涅槃図にも猫が描かれています。 東福寺の明兆の弟子が描いた涅槃図には猫がいるのだとか・・・ |
東慶寺の涅槃図は、仏教学者・鈴木大拙の松ヶ岡文庫に残されていた版木から印刷したものを彩色したのだそうです。 東慶寺では、2018年から絵解き師の岡澤恭子先生をお迎えして「涅槃図お絵解き講座」を開催しています。 岡澤先生のお話によると、人は死ぬと閻魔大王の裁きを受けることになりますが、「涅槃図お絵解き」を視聴した者は、生前の罪が許されるのだとか。 |
2024涅槃図お絵解き講座 |
?月?日(?) 13:30〜15:00(13:00開場) 場所:東慶寺 本堂 料金:????円 |
源頼朝に弓馬術を語ったという西行は「願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ」と詠みました。 「きさらぎ」は2月、「望月」は満月。 「お釈迦さまと同じ日に死にたい」と願った歌です。 西行は、ほぼ願い通りの1190年(建久元年)2月16日に亡くなっています。 |
日本最大級 泉涌寺涅槃図 (京都) |
猫が描かれた涅槃 東福寺涅槃図 (京都) |
京都の涅槃会は月遅れの3月15日。 |
釈迦が入滅したとされる2月15日には、各寺院で仏涅槃図が掲げられ、涅槃会が執り行われます。 |
円覚寺 | 午前10時 |
光明寺 | 午前10時:写経会 午後1時:法話 午後2時:法要 |
宝戒寺 | 24日まで本堂に涅槃図が掲げられる。 |
妙本寺 | 午後3時:法要 午前10時から午後3時まで涅槃図展覧。 |
覚園寺 | 夜間特別涅槃会 2月10日・11日・12日 16:30〜20:00 |
※ | 開催日時等が変更されている場合もあるかもしれませんので、行かれる方はご確認願います。 |
沙羅双樹 (ナツツバキ) |
ハクウンボク (浄智寺) |
釈迦は沙羅双樹の木の下で亡くなりました。 日本では「ナツツバキ」を沙羅双樹とする場合が多いようです。 「ハクウンボク」を沙羅双樹とすることも。 ナツツバキは、アジサイの時季に明月院・成就院・長谷寺などで見ることができます。 浄智寺のハクウンボクは5月中旬頃に見頃となります。 |
釈迦が生まれた4月8日には、各寺で降誕会(灌仏会)が執り行われます。 桜の季節であることカ「花まつり」と呼ばれています。 |
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