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『大鏡』によると・・・ 有明の月がまだ明るい時刻、花山天皇は誰にも知らせずに内裏を抜け出します。 |
悩む花山天皇 |
藤壺(飛香舎)の小戸から出たようですが、月がたいそう明るく目立ってしまう状況だったようです。 どうするか悩む花山天皇に藤原道兼は、 「やめることはできません。 すでに神璽と宝剣が東宮さまにお渡りになっています」 申し上げます。 道兼は自ら神璽と宝剣を東宮に渡していたのだとか。 |
※ | 『扶桑略記』や『愚管抄』によると、神璽と宝剣を持ち出したのは道隆と道綱。 |
(参考) 寛和の変の黒幕は…懐仁親王の母・藤原詮子か?厳久とは? |
忯子の手紙を取りに戻ろうとする |
そうこうしているうちに、月に雲がかかってくると花山天皇は 「出家が成就するのだなあ」 と言って歩きだします。 しかし、寵愛していた藤原忯子の手紙を思い出して取りに戻ろうとします。 これを道兼は 「どうして出家しようとしているときに、そのようなことを考えるのでしょうか」 とウソ泣きをして諦めさせたのだとか。 |
安倍晴明の屋敷 |
花山天皇と道兼は、土御門大路を東へ進んでいきますが、やがて陰陽師・安倍晴明の邸宅の前を通ります。 そのとき 「天皇がご退位なさるようだ。 すぐに参内して奏上しよう」 という晴明の声が聞こえてきました。 晴明の命で式神が宮中へ向かおうとすると、花山天皇の後ろ姿があったのだとか。 |
花山天皇の退位を知っていた安倍晴明~寛和の変~ |
騙された花山天皇 |
元慶寺(花山寺)に到着した花山天皇は、剃髪(出家)しますが・・・ 一緒に出家して弟子となる約束をしていた道兼は、 「まだ父に出家の事を告げていないので、出家前の姿を一目見せてから・・・」 と退出しようとします。 すると花山天皇は 「私を騙したのだな」 と泣きながらおっしゃったのだとか。 |
元慶寺は、寛和の変で花山天皇が出家したことから「花山寺」とも呼ばれている。 『大鏡』によると、道兼の父兼家は、息子が花山天皇とともに出家してしまうことをおそれて、源氏の武者たちに見張らせていたらしい。 |
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