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神泉苑は、天皇や公家が船遊びなどをするため、794年(延暦13年)、桓武天皇によって平安京の大内裏(平安宮)に接して造営された広大な禁苑(宮中の庭園)。 しかし、徳川家康が二条城を築く際に北側が大きく縮小させられるなど、現在では、当時の十二分の一にも満たない規模となってしまった。 雨乞いの霊場だったという神泉苑では、東寺の弘法大師(空海)が祈祷を行い、静御前が舞ったと伝えられている。 嵯峨天皇が「花宴の節」を催したことから花見発祥の地ともいわれる。 現在は東寺真言宗の寺院。 法成就池の中島にある恵方社は、毎年大晦日の晩に恵方の方角に祠の向きが変えられるという日本で唯一のもの。 |
平安宮 (大内裏) |
内裏跡 |
平安宮は、平安京の宮城。 内裏は天皇の住まいで、儀式や執務などを行う宮殿。 |
大極殿跡 (朝堂院正殿) |
豊楽殿跡 (豊楽院正殿) |
平安宮の中央には朝堂院、西に豊楽院、北東に内裏があり、それらを囲むように二官八省をはじめとする役所が建ち並んでいた。 大極殿は、朝堂院の正殿。 豊楽殿は、豊楽院の正殿。 平安宮は、1227年(安貞元年)の火災で全焼した後は再建されなかった。 |
干ばつが続いていた824年(天長2年)、東寺の弘法大師(空海)は、淳和天皇の勅命により神泉苑の畔で「雨乞い」の祈祷を行い、善女龍王を呼び出して日本国中に雨を降らせたのだという。 |
毎年大晦日の晩になると、翌年の恵方に祠の向きが変えられる。 毎年向きを変える「歳徳神」は唯一。 |
『今昔物語』によれば、東寺の空海と西寺の守敏(しゅびん)は、祈雨の法力競いを行った。 まず、守敏が雨を降らせることに成功した。 続いて空海が祈るが雨は降らなかったという。 怪しんだ空海が法力を使って調べてみると、守敏があらゆる雨の神(龍神)を法力で水瓶の中に封じていることが判明した。 空海は考えた末、天竺の無熱池に善女龍王がいることを知り、善女龍王に祈ったところ、黒雲が湧き起こって雨が降った。 守敏の雨は都にしか降らなかったのに対し、空海の雨は3日間にわたって国中に雨を降らせ、国土を潤したのだとという。 |
建久年間(1190年 - 1199年)、源頼朝は、1180年(治承4年)に大風の被害に遭った神泉苑の社殿を復興したのだという。 その後、1221年(承久3年)の承久の乱によって荒廃した神泉苑を復興したのは北条泰時だった。 『吾妻鏡』には、1231年(寛喜3年)10月12日、安嘉門院邦子の御所と神泉苑の修理について検討したことが記録されている。 |
神泉苑内の法成就池に架けられた朱塗りの橋。 この橋を渡って善女龍王社に参ると願い事がかなうといわれている。 ただし、願い事は一つだけ。 源義経と静御前が出会った橋とも・・・ 毎年5月の神泉苑祭では、法成橋で「静御前の舞」が奉納される。 『義経記』が伝える日本一の静の舞 |
本堂利生殿(りしょうでん)は、1847年(弘化4年)に東寺の大元帥堂を移築したもの。 本尊は、聖観音・不動明王・弘法大師。 聖観音で後光明天皇の供養のために父の後水尾法皇が造立したもので、光背や台座・厨子は生母の園光子の造立。 |
天満宮 |
弁天堂 |
宝篋印塔 |
鎮守稲荷社 |
宝篋印塔は、1684年(貞享元年)、弘法大師入定850回忌にあたって建立された。 阿しゅく如来(東方)、室生如来(南方)、阿弥陀如来(西方)、不空成就如来(北方)の梵字が彫られている。 |
京都三大祭の一つ「祇園祭」は、当初は「祇園御霊会」と呼ばれていた。 863年(貞観5年)に疫病が流行した際、神泉苑では「御霊会」が行われるが、その後も疫病の流行が続いたことから、869年(貞観11年)、当時の国の数「66」の矛を立てて、八坂神社から神泉苑へと行列したことが「祇園祭」の始まりだという。 |
八坂神社 |
祇園祭 |
八坂神社本殿の下にある龍穴は、神泉苑・東寺・御手洗井と繋がっているのだという。 2022年(令和4年)から、神泉苑の閼伽水と八坂神社の青龍水を交換する「御神水交換式」が始められ、交換された神水は祇園祭の神事に供されている。 青龍神水は、大神宮社前の祇園神水を汲んだもの。 閼伽水は、善女龍王社の閼伽井から汲み上げられたもの。 |
1182年(寿永元年)、後白河法皇は、白拍子100人に「雨乞いの舞」を舞わせた。 99人までが舞っても雨が降らなかったが、100人目の静御前が舞うと3日間雨が降り続いたと伝えられている。 『義経記』によると、静御前は神泉苑での雨乞いの時に源義経に気に入られて妾となったとのだという(その後に行われた「住吉での雨乞い」の時とする説も・・・)。 『義経記』が伝える日本一の静の舞 |
京都市中京区御池通神泉苑町167 地下鉄東西線「二条城前」駅下車 押小路通を西へ徒歩約5分 |
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