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芥川龍之介の『羅生門』は、平安京の朱雀大路の南端にあった羅城門を舞台とした小説。 平安時代の荒れた状況と、人間の利己主義を描いた傑作。 |
ある男が、仕えていた家を解雇され、盗人にでもなろうとしたのだが、その勇気も出ずに羅城門(羅生門)で途方に暮れていると・・・ 羅城門(羅生門)の上層で老婆が松明を灯し、女の死骸から髪の毛を抜いているのを見た・・・ |
正義の勇気 |
男は、その老婆の行動に憎悪を覚え、刀を抜いて老婆に襲いかかり、老婆の骨と皮ばかりの腕をつかんで、 「何をしていた」 と問いただした。 |
生きるための行動 |
すると老婆は、 「この髪を抜いて鬘(かつら)にしようと思った」 と答えた。 さらに・・・ 「死人の髪の毛を抜くというのは悪いことかもしれない。 だが、生きるためには仕方のないこと。 この女だって生前は、蛇の干物を干魚だと偽って売っていた。 これも生きるためには仕方のないこと。 きっとこの女は髪の毛を抜いたことを許してくれるだろう」 と言う。 |
悪になる勇気 |
それを聞いた男は、盗人になる勇気を持ち、老婆から着物を剥ぎ取り、 「己もこうしなければ、餓死をする体なのだ」 と言って闇の中へ消えていった。 その後の男の行方は誰もしらない |
羅城門は、平安京のメインストリート・朱雀大路の南端に建てられていた大門。 北端には朱雀門、朱雀門を入ると平安宮(大内裏)があった。 都が地震・竜巻・火災・疫病・飢饉などの影響で荒れていく中、羅城門は死体の捨て場となっていたのだという。 |
『羅生門』という題名は、人間の「生」を意識して「羅城門」を「羅生門」としたのだと考えられている。 芥川は、荒廃した羅城門の上層の様子を・・・ 「その中には裸の屍骸と、服を着た屍骸とがあると云う事である。 勿論、中には女も男もまじっているらしい。 そうして、その屍骸は皆、それが、嘗(かつて)、生きていた人間だと云う事実さえ疑われる程、土を捏(こ)ねて造った人形のように、口を開いたり手を延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた」 と描いている。 |
六道の辻 |
六道珍皇寺 |
六道の辻は、鳥辺野(とりべの)という葬送地の入口。 六道珍皇寺は、あの世とこの世の境目に建つという寺。 |
六波羅蜜寺 |
西福寺 |
平安時代は「風葬」が一般的だったことから、疫病が流行った際には、この辺り一帯におびただしい数の死体が捨てられていた。 その供養のために開かれたのが空也の西光寺(現在の六波羅蜜寺)。 六道の辻地蔵尊(西福寺)には多くの石地蔵が置かれている。 |
平安時代は、野ざらしにされる死体が多かったことから、化野(あだしの)・蓮台野(れんだいの)・鳥辺野(とりべの)・華頂(かちょう)・西院(さいいん)が葬送地として制定された。 |
化野念仏寺 |
千本ゑんま堂 |
化野念仏寺は、弘法大師が野ざらしになっていた遺骸を埋葬したことに始まる寺。 蓮台野の入口にあるのは千本ゑんま堂は、小野篁が建立したゑんま堂を始まりとする。 化野の愛宕念仏寺は、六道の辻付近にあった寺なのだという。 |
京都市南区唐橋羅城門町花園児童公園内 JR京都駅八条口から徒歩20分 近鉄「近鉄東寺駅」下車徒歩15分 |
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