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ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 恋しき人の みまく欲しさに |
「神域に巡らされた垣も越えてしまいそう。宮廷からおいでになった方をみたくて・・・」 『伊勢物語』第七十一段「神のいがき(斎垣)」の歌で、伊勢の斎宮の御殿に勅使として参ったある男が、斎宮の女房と色好みの話をした際、女房が個人的な感情を詠んだもの。 禁制を犯してまで逢いたいという思いを詠んでいる。 そして、男の返歌は・・・ |
恋しくは 来ても見よしかし ちはやぶる 神のいさなむ 道ならなくに |
「恋しいのなら来てみなさいよ。恋は神様が禁止するものではありません」 |
斎宮は、伊勢神宮に奉仕した斎王。 紫式部の『源氏物語』では、六条御息所の娘が斎宮になっている。 「賢木の巻」では、六条御息所は斎宮とともに伊勢へ下るために野宮に滞在。 そこへ、神の斎垣を越えて光源氏が訪れる・・・ |
神垣は しるしの杉も なきものを いかにまがえて 折れるさかきぞ |
「この神垣には目印となる杉もございませんのに、どうまちがえて榊を折って訪ねられたのでしょう」(六条御息所) |
少女子が あたりと思へば 榊葉の 香をなつかしみ とめでこそ折れ |
「神にお仕えする少女子がいるあたりと思ったので、榊の葉の香りを慕い、探し求めて折り取ったのです」(光源氏) |
野宮神社は、伊勢神宮に仕える斎王(斎宮)が伊勢に赴く前に身を清めたという「野宮」の一つだった地に鎮座する社。 六条御息所の娘は、帰京後、光源氏の養女となって冷泉帝に入内し、秋好中宮と呼ばれている。 |
斎宮神社 |
斎宮邸跡 |
斎宮神社も野宮の旧蹟とされる。 斎宮邸は、斎王(斎宮)の居所で、西京高校がその跡地の一つとされている。 |
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