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うきねせし 水の上のみ 恋しくて 鴨の上毛に さへぞおとらぬ |
「あなたと仮寝をしていた宮中が恋しくて、その寂しさは鴨の上毛の露にさえも劣らないほど冷たい」 この歌は、紫式部が里に下がっているときに手紙をくれた大納言の君(源簾子)に贈った歌。 |
うち払ふ 友なきころの ねざめには つがひし鴛鴦ぞ よはに恋しき |
「互いの露を払うような友がいない寝覚めには、鴛鴦(えんおう)のように一緒にいたあなたが恋しい」 紫式部の歌に対する源簾子の返歌。 |
※ | 鴛鴦はオシドリのつがいのことで、仲の良いことのたとえ。 |
1008年(寛弘5年)、紫式部が仕えていた一条天皇の中宮・藤原彰子が土御門殿で出産。 『紫式部日記』によると、その後、紫式部は里下がりをしたらしい。 大納言の君(源簾子)との贈答歌はその時のもので『紫式部日記』にも載せられている。 里下がりの際、紫式部は源倫子に「早く帰参します」と言っていたが、倫子から「長く里にいるようですね」という手紙をもらい、恐れ多くなって帰参したのだとか。 |
藤原障子の皇子出産と紫式部と源氏物語~『紫式部日記』~ |
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