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ある日、広沢の僧都(寛朝)の御坊(遍照寺)を訪れた安倍晴明は、若い僧たちに 「式神を操るそうですが、一瞬にして人を殺せるのでしょうか?」 と尋ねられた。 晴明は、 「虫などは、わずかな力で殺せますが、生き返らせる方法を知りません。 罪に問われてしまうので、できません」 と答えたのだという。 そんな時、5、6匹の蛙が池の方に飛び跳ねていった。 僧は、 「あれを1匹殺してもらえませんか?」 と晴明に言う。 晴明は、 「私の力を試したいとおっしゃるなら」 と言って、草の葉を摘み取って蛙に投げると・・・ 蛙はまったいらにひしゃげたのだとか。 |
遍照寺は、989年(永祚元年)、円融法皇の御願により寛朝が創建した寺。 |
晴明に殺された蛙が飛び跳ねていった池は広沢池。 遍照寺の庭池で遍照寺池とも呼ばれる。 広沢池では、具平親王の妾妻・大顔が物の怪に襲われて急死したらしい。 紫式部の『源氏物語』で光源氏に恋をした夕顔は、大顔がモデルといわれる。 |
安倍晴明は、花山天皇・一条天皇・藤原道長の信任を得た陰陽師。 晴明神社は、一条天皇が晴明の偉業を讃えるために、晴明の屋敷跡に創建。 |
晴明は、1005年(寛弘2年)9月26日に85歳で没したといわれ、嵯峨に葬られたのだと伝えられている。 墓所では、命日には嵯峨墓所祭が斎行されている。 |
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