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かがり火の 影もさわがぬ 池水に 幾千代すまむ 法の光ぞ |
「篝火を静かに映す池の水は、これから幾千年もの間、仏の光が射し込んで清らかに澄んでいるのだろうか」 この歌は、土御門邸で法華三十講の法華経第五巻が行われた1008年(寛弘5年)5月5日の夜に詠んだもの。 法華三十講は、法華経三十巻を三十日間にわたって講ずる行事。 篝火と御燈明で池の水面が昼間より明るく光り輝き、菖蒲の香が匂ってきた中で詠んだらしい。 |
澄める池の 底まで照らす かがり火に まばゆきまでも うきわが身かな |
「澄みきった池の底まで照らす篝火は輝かしいが、その光が恥ずかしく辛い」 この歌は、大納言の君(源廉子)が詠んだもの。 一見何の悩みもなさそうに見える大納言の君が、思い悩む心を歌で紫式部に打ち明けたのだとか。 |
紫式部の歌~妙なりや・・・5月5日の法華経第5巻~ 紫式部の歌~菖蒲の歌:小少将の君と紫式部の贈答歌~ |
藤原彰子の懐妊と藤原道長の法華三十講と紫式部 |
土御門殿(土御門邸)は、藤原道長の邸宅。 法華三十講は、紫式部が仕えていた藤原彰子の安産祈願のために行われたもの。 この歌が詠まれた年、彰子は土御門殿で一条天皇の第二皇子・敦成親王(後一条天皇)を出産している。 |
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