紫式部「光る君へ」


紫式部の歌
~夫婦仲に秋風が立ち、
天の川の逢瀬を羨む~


編集:yoritomo-japan.com








 うちしのび
 嘆きあかせば
 しののめの
 ほがらかにだに
 夢を見ぬかな


 「あなたのことをひそかに想い、逢いたいと思っているうちに夜を明かしたので、あなたを夢に見ることもできなかった」

 藤原宣孝紫式部に寄こした歌といわれている。

 その返歌は・・・



 しののめの
 空霧りわたり
 いつしかと
 秋のけしきに
 世はなりにけり


 「夜明けの空は霧がたちこめ、いつのまに秋の景色が広がっている・・・」

 通い婚だった紫式部藤原宣孝

 紫式部は、通って来なくなった宣孝に、自分たちの仲にも秋風が立ってしまったのかと訴えているものらしい。

 この歌は7月1日ころに詠んだ歌だが、7月7日にも・・・



 おほかたを
 思へばゆゆし
 天の川
 今日の逢ふ瀬は
 うらやまれけり


 「彦星と織姫の逢瀬は天上のことですが、今日ばかりは二人の逢瀬が羨ましい」

 そして・・・



 天の川
 逢ふ瀬はよその
 雲居にて
 絶えぬ契りし
 世々にあせずは


 「天の川の彦星と織姫の逢瀬は、しょせん高く遠く離れた所での事。二人の仲が末永く変わらないのであればいいと願っています」

 と詠んでいる。





京都:蘆山寺
リンクボタン廬山寺

 廬山寺は、藤原宣孝が通っていた紫式部の邸跡に建てられている寺。

 宣孝が来ない邸宅で紫式部は七夕に願いを込めたのだろうか・・・

 参考までに、『源氏物語』(幻の巻)には・・・

 紫の上を亡くして、一年に一度の七夕の逢瀬も叶わないことに嘆き悲しむ光源氏の姿が描かれている。



七夕に涙を流す光源氏



リンクボタン紫式部の歌~藤原宣孝に飽きられた紫式部の悲しみの歌~

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