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うちしのび 嘆きあかせば しののめの ほがらかにだに 夢を見ぬかな |
「あなたのことをひそかに想い、逢いたいと思っているうちに夜を明かしたので、あなたを夢に見ることもできなかった」 藤原宣孝が紫式部に寄こした歌といわれている。 その返歌は・・・ |
しののめの 空霧りわたり いつしかと 秋のけしきに 世はなりにけり |
「夜明けの空は霧がたちこめ、いつのまに秋の景色が広がっている・・・」 通い婚だった紫式部と藤原宣孝。 紫式部は、通って来なくなった宣孝に、自分たちの仲にも秋風が立ってしまったのかと訴えているものらしい。 この歌は7月1日ころに詠んだ歌だが、7月7日にも・・・ |
おほかたを 思へばゆゆし 天の川 今日の逢ふ瀬は うらやまれけり |
「彦星と織姫の逢瀬は天上のことですが、今日ばかりは二人の逢瀬が羨ましい」 そして・・・ |
天の川 逢ふ瀬はよその 雲居にて 絶えぬ契りし 世々にあせずは |
「天の川の彦星と織姫の逢瀬は、しょせん高く遠く離れた所での事。二人の仲が末永く変わらないのであればいいと願っています」 と詠んでいる。 |
廬山寺は、藤原宣孝が通っていた紫式部の邸跡に建てられている寺。 宣孝が来ない邸宅で紫式部は七夕に願いを込めたのだろうか・・・ 参考までに、『源氏物語』(幻の巻)には・・・ 紫の上を亡くして、一年に一度の七夕の逢瀬も叶わないことに嘆き悲しむ光源氏の姿が描かれている。 |
紫式部の歌~藤原宣孝に飽きられた紫式部の悲しみの歌~ 紫式部の歌~藤原宣孝が来ない邸宅で嘆く紫式部~ 紫式部の歌~浮気する藤原宣孝への反発の歌~ 通い婚・妻問婚と藤原道長と紫式部 |
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