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長谷寺には六面の「懸仏」(かけぼとけ)が残されている(観音ミュージアムに収蔵)。 六面とも70〜80センチメートルある大型なもので、鏡面の十一面観音像は、右手に錫杖を持っているか、あるいは、持っていた痕跡があり、岩座上に立っていることから、長谷寺の十一面観音像を意識したものと考えられている。 1326年(嘉暦元年)の銘を刻んだものもあり、六面ともに国の重要文化財に指定されている。 「懸仏」は、銅などの円板(神社の御神体として祀られる鏡)に仏像を施したもので、柱や壁にかけて礼拝された。 これは、平安後期の本地垂迹(ほんじすいじやく)の思想から生まれたもので、鎌倉・室町時代に流行。 長谷寺の懸仏は、大和(奈良)の春日大社を信仰する「春日信仰」を背景に成立したと考えられている。 |
六面の懸仏のうち三面には、それぞれ嘉暦元年(1326年)、元徳2年(1330年)、元徳3年(1331年)の銘がある。 |
敬白 奉造立御聖体壱面 新長谷観世音菩薩御宝前 右為依令宿願成就奉造之処也 現世安穏後生善処子孫安楽無病 延命造進如件 嘉暦元年十月九日安部光能 {敬/白} |
※ | 新長谷寺という名称は、梵鐘の銘文にも見られる。 |
736年(天平8年)の開創と伝えられる古寺。 本尊の十一面観音は木造では日本最大級の仏像で、坂東札所の第4番。 |
鎌倉市長谷3−11−2 0467(22)6300 江ノ電「長谷駅」から徒歩5分 |
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