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折りて見ば 近まさりせよ 桃の花 思ひぐまなき 桜惜しまじ |
「桃の花よ、瓶に挿したら見まさりしておくれ。私の気持ちも知らずに散ってしまった桜に未練はない」 この歌は、瓶に挿した桜がすぐに散ってしまったので、桃の花に目を向けて詠んだもの。 紫式部は、自分を桃に藤原宣孝の旧妻を桜になぞらえ、結婚したら一層よく見える女であることをほのめかしたのだとか。 |
ももといふ 名もあるものを 時の間に 散る桜には 思ひおとさじ |
「百という名もある桃だから、あっという間に散ってしまう桜より劣っているとは見ないよ」 藤原宣孝の返歌。 |
花といはば いづれかにほひ なしと見む 散りかふ色の ことならなくに |
「花という以上、桜の花と梨の花のどちらが美しくないと見ようか。散り乱れる花の色に違いはないのだから」 |
廬山寺は、紫式部の邸跡に建てられている寺。 紫式部と藤原宣孝の結婚は、同居ではなく宣孝が紫式部のところを訪ねて数日を暮らす「通い婚」。 この花の贈答歌は夫婦団欒のひと時のものだが・・・ この贈答歌を除くと、結婚後の歌は、なかなか来ない宣孝を待つ歌が多くなる。 |
紫式部の歌~藤原宣孝に飽きられた紫式部の悲しみの歌~ 通い婚・妻問婚と藤原道長と紫式部 |
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