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おぼつかな それかあらぬか 明け暗れの 空おぼれする 朝顔の花 |
「気になるのは夕べの方がちがう方なのか?夜明け前にそらとぼけて帰られたあなた」 この歌は、藤原為時の邸宅(紫式部邸)に方違えで訪れて泊まっていった男に贈ったもの。 何となく釈然としない男が翌朝に帰るときに朝顔の花を贈ったのだという。 様々な注釈があって解釈もまちまちだが、どうも男は紫式部と姉の部屋に侵入して色めいたことなどを話しかけたらしい。 そして、この男は、のちに紫式部と結婚する藤原宣孝という説がある。 紫式部が贈った歌に対する男の返歌は、 |
いづれぞと 色わくほどに 朝顔の あるかなきかに なるぞわびしき |
「どちらから贈られた花かと考えていたら、朝顔がしおれて、見る影もない状態になってしまい切ない」 |
「方違え」(かたたがえ)は、外出または帰宅の際、目的地が凶の方角だった場合に、いったん吉の方角の家に赴くことで、その家で一夜を明かして、翌日、違う方角から目的地へ向かった。 『源氏物語』では、光源氏が方違えで伊予介の長男・紀伊守の屋敷に赴き、伊予介の後妻・空蝉と情を通じている。 |
方違え~方位神のいる方角を避ける陰陽道の信仰~ |
廬山寺は、紫式部の邸跡に建てられた寺。 |
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