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『平家物語』によると・・・ 摂津源氏の源頼光には、渡辺綱、坂田公時、碓井貞光、卜部末武という四天王が仕えていた。 ある時、四天王の随一の渡辺綱は、頼光に用を頼まれて一条大宮へ遣わされた。 その帰りのこと。 一条戻橋で美女に出会った綱。 美女に「五条まで帰りたいが、夜が更けて心細いので送ってほしい」と頼まれ、こころよく引き受けて美女を馬に乗せて送って行くのだが・・・ その途中で美女が「家は都の外にある」と言い出した。 綱が「家まで送る」と申し出ると、美女は鬼に姿を変え「いざ、我の行くところは愛宕山ぞ」と言って綱のもとどりを掴み上げ、乾の方へ飛んで行く。 綱は少しも騒がず、宝刀の髭切を抜いて鬼の腕を斬り落とした。 綱は北野天満宮の回廊に落ち、鬼は片腕を斬られながら愛宕山へと飛び去っていった。 その後、鬼は綱の養母に化けて綱の屋敷を訪ね、斬り落とされた片腕を奪い取っていったのだとか・・・ 綱が帯びていた髭切は源家重代の太刀。 この事件後、鬼切と名を変えたようだが、のちに源頼朝が初陣の際に帯びた髭切がこの太刀のようだ。 |
北野天満宮 |
橋姫神社 |
渡辺綱が落ちた北野天満宮には、綱が寄進したという燈籠が残されている。 宇治の橋姫神社にも鬼女と渡辺綱の伝説が・・・ |
東京都北区にある王子稲荷神社には、渡辺綱に腕を斬り落とされた鬼が、綱の養母に化けて館を訪れ、斬られた腕を持って逃げる場面を描いた絵馬が奉納されている。 |
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