|
平安時代の貴族・源順(みなもとのしたごう)は、アジサイを「紫陽花」と表記しました。 源順が編纂した辞書『倭名類聚抄』には、 「白氏文集律詩云 紫陽花 和名安豆佐為」 (白氏文章の紫陽花は日本でいう安豆佐為(あづさゐ=アジサイ)のこと) と解説されているようです。 『白氏文集』(はくしもんじゅう)は、唐の詩人・白居易(白楽天)の詩文集。 平安貴族の間で流行し、藤原行成は書写して一条天皇に献上しているようです。 清少納言の『枕草子』や紫式部の『源氏物語』などにも影響を与えました。 『白氏文集』にはこう書かれています。 何年植向壇上 早晩移栽到梵家 雖在人間人不識 与君名作紫陽花 「いつ仙人の住む地に植えられたのか、 いつこの寺に植え替えられたのか、 人間界にあるのに人は知らない、 君のために紫陽花と名付けよう」 白居易は、ある花に「紫陽花」という名を付けますが・・・ この花はライラックではないかといわれていますが、アジサイではないことは確かなようです。 源順は、白居易が名づけた「紫陽花」の花を「安豆佐為」(あづさゐ=アジサイ)のことだと勘違いしてしまったようです。 そして、その勘違いの当て字は、それ以降の辞書にも載せられ、現在に至っているのだとか・・・ |
|